ここは、ギャラリー ミエルカ。 科学というフィルターを通して、 身近な現象に潜む、美しさや 面白さをお届けします。
ただの物質が息をのむアートに見えたり、 なにげない現象の裏側に 精巧なメカニズムが見えたり。 さぁ、あなたも まだ見ぬ世界を探しに行きませんか。
実験監修：ガリレオ工房
画面に広がる美しい模様。じつは、ビタミンCが結晶になる瞬間を特別な顕微鏡で捉えた映像なんだ。水に溶けてバラバラだったビタミンCの小さな粒（分子）は、まるで磁石に引き寄せられるようにきちんと並んで固まりを作る。これを「結晶化」といって、基本の形はあるのだけど、温度や湿度、不純物などまわりの環境が少し変わるだけで、形や大きさがガラッと変わるんだ。同じビタミンCでも同じ結晶にはならないのが不思議だよね。雄大な山や海などの自然も美しいけれど、ミクロの世界に宿る自然の輝きもステキでしょ。
跳ねたり、転がったり、くっついたり。かわいい水玉の形になるのは、「表面張力」と「濡れ性」が関係しているんだ。水の分子はお互いにギュッとまとまろうとして、いちばん表面積の小さいまん丸になろうとする。これが「表面張力」のちから。「濡れ性」は液体が固体の表面にどれだけなじみやすいかを示す性質だよ。この濡れ性が高いと液体が広がってしまうんだ。逆に濡れ性が低いと、水玉が立ち上がって形が維持され、弾かれるから、ころころと転がるんだ。水に弱い紙なども、コーティングすることで耐水性が高くなるのはこの濡れ性が関係しているんだよ。
水玉に絵の具を入れるとカラフルに大変身！でも、どうして絵の具は水玉の中でゆっくり広がっていくんだろう。水より重く、粘り気のある絵の具は、最初は一部に集まって、あんまり広がらない。だけどこの絵の具は水溶性で、水に混ざりやすい性質があるから、時間がたつとゆっくり水全体に広がっていく。これは「拡散」という現象で、絵の具は濃度の高い方から低い方へと自然と広がるんだ。そうしてだんだんと色むらがなくなり、最後は全体が同じ色に染まるってわけ。ちなみに、絵の具が水玉から出ていかないのは、水玉の水が絵の具を引き寄せて中に閉じ込めるからだよ。
カラフルな光のショーを演出するのは、ダイクロイックプリズムという特殊なキューブ。白い光を当てると、ガラスの中のフィルムが、特定の色の光だけを反射したり、透過したりするんだ。この仕組みはプロジェクターなどで大活躍。プリズムが白い光を三原色に分けて独立した色を作り出し、再び重ね合わせることで、鮮やかなカラー映像を生み出す。高性能なビデオカメラなどでも、光を色ごとに分けてセンサーに届け、豊かな色彩を記録しているよ。光の進む方向を自在に操り、美しい世界を奏でる。指揮者のような存在だね。
激しくも美しい火花の乱舞。線香花火にはこんな側面もあるんだ。赤く燃える火の玉は、燃えて高温になった灰の成分とまだ燃えていない高温の炭素が、ドロドロの塊になったもの。この中で高温のガスが生まれ「プシュッ！」と噴き出す。その瞬間、ガスと一緒に飛び出した粒の中の炭素は空気中の酸素と反応して高温になり、キラキラ輝く火花になる。これを繰り返すことでたくさんの火花が生まれるんだ。まるで火山のマグマが噴き出すように、激しいエネルギーが解放される。儚く見える線香花火にも、壮大な“ミクロの噴火”の物語があるんだね。
