companyartienceの技術講座

応用編

コア素材とコア技術を生かして
どのように製品を開発しているのかを、
応用編ではいくつかの事例とともに
紹介します。

グラビアインキ

製品について

主に食品パッケージや壁紙、家具の表面材に使用されるインキです。色の濃淡を表現するのに優れており、写真のような鮮やかな色彩を表現します。

構造イメージ
環境対応

どんな技術を応用している?

  • インキは、顔料・樹脂・溶剤・添加剤の4つの成分で構成されています。顔料は目的の色相を出すことはもちろん、耐熱性や印刷効果を付与します。樹脂は顔料を分散し、フィルムへの密着性や印刷時の適性に関わる物性を担います。顔料と樹脂からインキを一貫生産できることがartienceの強みです。

  • インキの開発・製造工程において最も重要なのが分散です。顔料を適したサイズの粒径に細かく砕き、樹脂で均一に包ませることにより、インキに印刷効果(彩度や光沢感等)・印刷適性・物性(強度等)を付与します。分散をしないと顔料同士で凝集したり、沈殿が起こってしまいます。均一に分散することで安定したインキとなります。

  • 様々な特性を生み出しても、良し悪しを判断するノウハウがなければ製品の質を向上させることはできません。artienceは豊富な実績とトライアンドエラーを積み重ね改善を繰り返してきた実績を生かし、適切な評価をすることで製品の質を向上させています。

point

サスティナブルな社会の実現のために、artienceは水性インキや、バイオマス原料のインキなど、環境配慮型のインキの開発に力を入れています。分散に優れた顔料、性能に応じた樹脂をイチから開発できる強みを生かして、業界に先駆けた取り組みを推進しています。

電磁波シールドフィルム

製品について

スマートフォンなどの電子デバイスは、小さな機器の中にFlexible printed circuits(※以下FPC)と呼ばれる薄い絶縁材料を使った、曲げることができる構造のプリント基板が幾重にも重なって構成されています。電磁波シールドフィルムは、いくつもの基盤が干渉し合い誤作動を起こす原因となるノイズを抑制するためのフィルムです。

構造イメージ図
製品イメージ写真

どんな技術を応用している?

  • FPCの特長である柔軟性を損なわないように、柔軟性と耐久性を両立したartienceオリジナルの特殊ウレタン樹脂を使用しています。

  • 柔軟性を持つ素材は、耐久性が弱い傾向にあります。電磁波シールドフィルムはポリマー設計技術を生かし、高い耐久性と柔軟性の両方を実現しています。

  • 5Gなどにより信号速度が上がるとノイズの発生量が多くなるため、従来より優れた電磁波シールド性能(=導電性)が必要となります。分散技術を生かし、特殊フィラーと樹脂を混ぜることで、柔軟性、耐久性を維持しつつ導電性を向上しています。また、artienceの塗加工技術により機能と薄膜を両立し、デバイスの軽量化に貢献しています。

point

artienceには様々な素材と技術を生かし、高度化するニーズに応えられる製品開発体制があるからこそ、高い質を実現しています。今後、FPCだけでなく他の用途にも転用可能な技術として可能性が広がっています。

機能性分散体(リチウムイオンバッテリー用)

製品について

機能性分散体とは、光学、電気伝導性、熱伝導性などの物理的・化学的な性質を持ち、様々な機能を発現させる材料のことで、私たちの身の回りにある多くの製品に使用されています。artienceでは、脱炭素社会の実現に貢献する電気自動車(以降EV)向けのリチウムイオンバッテリー(以降LiB)用の機能性分散体に力を入れています。

カーボンナノチューブ
LiB用製品

どんな技術を応用している?

  • CBは印刷用インキにも用いられており、CBの導電性を生かした製品づくりにも生かされています。

  • 異なる素材を合成し、新たな機能を持つ素材を創出。素材の機能を最大限に発揮できるように加工する技術を用いて機能性を高めています。

  • 長年培ってきた分散技術を生かし、導電性を有するCBの微細分散を開発。さらにLiB用のCB分散体、CNT分散体と製品を進化させてきました。

point

EV市場の拡大により、搭載するLiB容量も大きくなっています。CNT分散体は高容量・高出力・長寿命を満たす導電助剤として、ニーズはさらに伸び続けていきます。当社も世界規模でのEVの普及を通じて、サスティナブルな社会の実現に貢献しています。

表示材料(FPD用カラーフィルタ色材)

製品について

FPD(フラットパネルディスプレイ)とは、薄く平らな画面(および筐体)を持つ映像表示装置の総称です。現在はテレビのほか、スマートフォンやパソコン、タブレット端末など、生活に欠かせない様々な電化製品に搭載されています。artienceではFPD用のカラーフィルタ色材として、高機能顔料から最終的なカラーレジストまでを自社で一貫して開発・生産しており、カラーディスプレイの高機能化や性能向上に貢献しています。

カラーフィルタの基本構造
カラーレジスト

カラーフィルタとは

FPDの画面を覗くと、赤・緑・青の画素が見えます。この画素を構成する部材のことをカラーフィルタと呼びます。カラーフィルタは、ディスプレイのカラー表示を可能にする役目を果たし、色再現域や視認性など画質に大きな影響を与えます。カラーフィルタは、ガラス基板の上にカラーレジストを塗布し、フォトリソグラフィーと呼ばれる手法で画素をパターニング形成させます。近年は、4K・8Kに代表されるような高精細化により、画素サイズの小型化が進み、より精密な画素形成技術が求められています。

カラーレジストとは

顔料をベースに、樹脂や光硬化成分を加えたインキを指します。カラーレジストには、画質を決める色特性や、微細な画素形成を可能とする高度なパターニング特性が求められ、artienceの印刷インキ技術が応用されています。

どんな技術を応用している?

  • FPDの画質を決める上で色は重要な要素です。色のもととなる顔料への豊富な知見と高い技術力が欠かせず、このアドバンテージを生かした開発を行っています。近年は色再現域を広げる色材に対するニーズが高まっており、artienceの新規顔料が注目を浴びています。

  • カラーレジストに用いられる樹脂には、顔料表面を覆って顔料粒子の分散を安定化すること、高度なパターニング特性を両立することが必要です。artienceでは、グループ間の連携により、FPDカラーフィルタに最適な樹脂を独自開発しています。

  • FPD用の色材の特長として粒子が非常に細かい点があります。一般的な印刷インキで使用する顔料が200〜300ナノに対して、最先端のFPD用の色材では20〜30ナノ。印刷インキや塗料の開発で培った「ナノレベルの分散加工技術」を生かし、微細な顔料を分散、安定化させ、高い流動性を持たせています。

point

FPDは製品に必要なスペックや大きさによって表示方式が使い分けられており、artienceではそれに応じた多様なカラーレジストを開発してきました。
カラーフィルタは、ディスプレイ以外にも、センサーやスマートフォンのカメラにも活用されており、IoT社会の広がりとともにartienceの活躍領域がますます広がっています。

artienceが生み出す
製品の源泉を知りたい方は
「コア素材・コア技術編」をご覧ください

artienceの技術講座|コア素材・コア技術編