製品・ソリューション

加飾フィルム用粘着剤とは

塗装に変わる次世代コーティング用粘着剤

加飾フィルムは、特に自動車の内装や外装部品に使用される装飾用のフィルムで、デザイン性や高級感の付与だけでなく、表面の保護機能も担う素材です。
また、デザインの自由度を高めるだけでなく、CO2排出量削減や生産工程の効率化に貢献するため、塗装に代わる次世代コーティング技術として近年注目されています。
artienceグループは、複層構成となっている加飾フィルムの各層へご提案可能な製品を取り揃えています。
本ページでは、加飾フィルムの特徴やメリット、その特徴を発揮するため重要な役割を担っている粘着剤の機能をご説明し、トーヨーケムの加飾フィルム用粘着剤製品についてご紹介いたします。
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加飾フィルムの特徴

  • 耐熱性

加飾フィルムの耐熱性は、特に自動車産業や電子機器産業において非常に重要な特性です。これは、製品が高温環境下でも性能を維持し、変形や劣化を防ぐ必要があるためです。
加飾フィルムを使用する際、特に高温環境下では、高温接着性に優れた接着材料が必要となります。例えば、アクリル系粘着剤の中でも特殊な配合を行うことで、高温下でも剥がれやずれを抑制し、高い耐熱性を実現しています。

  • 耐候性

耐候性とは、屋外環境下での紫外線、熱、湿気、酸素などの影響に対する抵抗力を指します。加飾フィルムの場合、特に色褪せや劣化に対する耐性が重要となります。
加飾フィルムは、自動車の外装部品や屋外広告、建築材料など、屋外で使用される製品に多く用いられます。そのため、長期間にわたって美観や機能性を維持するために高い耐候性が求められます。

  • 意匠性

加飾フィルムの意匠性は、製品の付加価値を高め、消費者の購買意欲を刺激する重要な要素です。特に自動車、家電、モバイル機器などの分野では、製品の差別化や高級感の演出に大きく貢献しています。

自動車塗装における加飾フィルムのメリット

加飾フィルムはデザインの自由度を高めるだけでなく、下記のようにCO2排出量削減、生産工程の効率化に寄与するため、次世代コーティング技術として自動車塗装の新しい選択肢となっています。

工程削減

従来のコーティング技術である塗装は、部品成形後に下塗り、乾燥、上塗り、乾燥と完成までに5工程を経る必要があります。
一方、次世代コーティング技術である加飾フィルム成形は、部品成形/フィルム印刷後、貼り付け、トリミングと3工程で完成となります。

コスト削減

設備スペースの削減(塗装ライン不要)や人件費の削減(作業工程の簡略化)、材料ロスの低減から初期投資や運用コストの面で、加飾フィルムは塗装よりも有利です。

環境負荷の低減(CO2排出減)

VOC(揮発性有機化合物)の排出が少ないことや、塗装ブースや乾燥炉が不要で、エネルギー消費を抑制すること、水使用量の削減から、加飾フィルムは塗装と比較して大幅に環境負荷を低減できます。

多様なデザイン

色彩と絵柄の多様性、質感の表現、3D形状への対応、機能性とデザインの融合、多様な素材表現、カスタマイズ性、トレンドへの対応等から、加飾フィルムのデザインは、技術の進歩とともに常に進化しています。

この加飾フィルムを製品に適切に貼り付け、長期間にわたって機能を維持するために、粘着剤が非常に重要な役割を果たしています。

粘着剤の役割

接着力

粘着剤は、加飾フィルムを様々な素材(プラスチック、金属、ガラス、木材など)にしっかりと接着させる役割を担います。適切な接着力があることで、フィルムが剥がれたり、気泡が入ったりすることを防ぎます。

耐熱性

特に自動車用途などでは、高温環境下でも接着性を維持する必要があります。耐熱性に優れた粘着剤を使用することで、長期間にわたって加飾フィルムの機能を維持することができます。

多様な素材への対応

加飾フィルムは様々な素材に適用されるため、粘着剤も多様な素材に対応できる必要があります。例えば、接着が難しいとされるポリプロピレン(PP)やガラスなどにも適用可能な粘着剤が開発されています。

加工性

3次元形状の製品にも加飾フィルムを適用する場合があります。このような複雑な形状にも対応できる粘着剤の特性が重要となります。

機能性の付与

粘着剤自体に機能性を持たせることで、加飾フィルムの付加価値を高めることができます。例えば、断熱性や導電性などの特性を持つ粘着剤を使用することで、加飾フィルムの用途を拡大することができます。

トーヨーケムのソリューション

加飾フィルム用粘着剤は過酷な車両環境でも剥がれない高耐久性や、複雑形状への追従性、塗膜の伸び性、多種基材への密着性、パーツへ貼付(成型)する際の作業性など様々な性能が要求されます。

加飾フィルム利用時の課題例「PPパーツに対して接着力が出ない。」「複雑形状に追従しない。」「自動車耐熱スペックが厳しくて性能がもたない。」「根着剤のべたつきが強く、作業性が悪い。」

トーヨーケムでは、長年培ったポリマー設計技術を生かし、使用箇所(車両外装/車両内装)、成型工法(手貼り、OM-D成形、IM-D成型等)、各種コンバーティング条件(塗工方式、印刷方式)への適応)に合わせたご提案とカスタマイズ設計が可能です。

加飾フィルム用粘着剤 設計イメージ

加飾フィルムは、設計イメージとして特徴別に4つのタイプに分けられます。
トーヨーケムでは、これら4つのタイプを組み合わせた独自の製品開発をすることが可能ですので、ぜひ一度ご相談下さい。

Type① 低タック且つ強接着 耐可塑剤性、耐ガソリン性、貼り直し適正に優れています。
Type② 高タック且つ強接着 PP、PE等オレフィン素材へ強く接着することが可能です。
Type③ 応力緩和性制御 成形・貼合方法への適応、段差追従性に優れています。
Type④ 耐久性重視 耐熱性、耐ガソリン性、耐ブリスター性に優れています。

当社開発品のご紹介

加飾フィルムはOMD(Out Mold Decoration)、IMD(In-mold Decoration)、手貼りなど、多様な成型方法があります。
当社では、各種工法に対応した粘着剤製品を取り揃えています。

成形工法 被着体 製品名 樹脂系 特徴

OM-D

(TOM成形用)

PP 開発品A

エラストマー

PP強接着、高保持力、耐熱性、低タック
開発品B

アクリル

PP強接着、耐熱性、アウトガス耐性
PC、ABS、GALSS、塗装板、鋼板 開発品C アクリル アウトガス耐性、高耐久性
開発品A アクリル 可塑剤耐性
開発品B アクリル 可塑剤耐性、低タック
手貼り ABS、塗装版等 既存品C アクリル 強接着、高耐久
塗装版 既存品D アクリル ペイントプロテクションフィルム用実績品

PP用の加飾フィルム用粘着剤については、以下のページをご覧ください。

加飾フィルム用PP強接着・高耐久粘着剤

その他、artienceグループの加飾フィルム用製品については以下をご確認ください。

加飾フィルム用ハードコート

UV硬化型機能性ハードコート剤 リオデュラス®︎

加飾フィルム用グラビアインキ

高耐久グラビアインキ・トップコート

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トーヨーケム株式会社 包装・工業材営業本部 営業1部

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