応用編#05 色彩と五感 その2 触感

触感をはぐくむ日本の生活文化

人は五感を働かせて、危険を察知したり、リラックスしたりしながら生活をしていますが、感覚は人それぞれで、感じたことを伝えるのはなかなか難しいといえるでしょう。
そんな五感を色に例えてみると、可視化できるため、ほかの人がどのように感じているのかを推測できるようになります。

今回は触感についてみていきたいと思います。かつて海外旅行で注意として教わったことの一つに、「勝手に商品に触らないこと」というのがありました。日本文化の中で育っていると、店舗に入るとすぐに手で触って確認するという習慣を身に着けた人が多かったようです。例えば食器を手にもって食事をしていますから毎日その手触りを感じ取っていますし、高温多湿と冬の乾燥といった気候のため汗や乾燥の繰り返しといった状況に苦しめられることも多く、衣類の素材の質感にこだわりを持つ人もいるでしょう。
最近では、映像や画像での判断が多くなっていますから、実際に触る経験をしなくても見た目で判断できる人が増えたでしょうが、「触る」ことで質感などを理解してきた習慣は根強いものがあるのではないでしょうか。

触感を表現する言葉-オノマトペ

まずは、配色でとらえた事例をみてみましょう。

手で触った感触を表す言葉を、三色配色に置き換えてみました。ワークショップでの結果です。どちらかというと、"気持ちの良い"感触を描写した言葉を中心に考えてみました。
ソフトなゾーンと中心部の穏やかゾーンに集中しているのがわかります。ごく淡いVp(ベリーペール)トーンが重要なようです。気持ちの良い触感は淡いトーンの色に象徴されるといえましょう。また、色相では黄、黄赤が大切です。肌の色に近いからでしょう。温もりも伝わるような色相です。

色で考える心地よい肌触り

次に、単色のサンプルから心地よい肌触りと不快な肌触りを回答してもらった事例をみてみましょう。
これは、「色・五感・心理などに関するイメージ調査-東北芸術工科大学」2013年 久保田力、渡部聡、杉山朗子による結果から引用しました。(回答に用いたカラーサンプルは28色の代表的な色相とトーンで構成した表です。)上位の色の傾向を見てみましょう。

ワークショップの結果と類似した結果となっているようです。男性も女性も淡い黄色を最も多く選んでいます。配色でも見られましたが、単色では「白」も多く選ばれたのが特徴といえましょう。
反対に、心地よくない肌触りの色としては、「黒」「茶」「グレー」と暗めの色や白以外の無彩色などが挙がってきました。非常に単純な結果といえばそうですが、改めて、触感に対する共通の意見が求められたといえましょう。

心地よい肌触りが求められる商品

商品においても、触感の良さが伝わる色が重要な分野があるでしょう。直接肌に触れるものです。肌着や寝具、化粧品類がその代表的なものでしょう。これらの分野は、肌触りのよさにこだわり、それを訴求してきたといえましょう。もちろん、いろいろな生活シーンや好みに合わせて様々な色彩やデザインの展開がされていますが、基本的な商品では「肌触りのよい」色展開を継続しているように思われます。

皆さんも、身近な生活用品の色を確かめてみてください。

触感の良さを訴求した製品・パッケージデザイン

製品色はごく淡いトーン、パッケージには少しはっきりしたトーンという濃淡で、肌に触れた際の柔らかさと質の良さが伝わってきます。ティッシュペーパーやトイレットペーパー類では大変重要な要素といえます。

〈製品色ピュアホワイト〉

〈製品色ウォーターブルー〉

〈製品色ペールピンク〉

クリネックス ソフティ4ロール(ダブル)日本製紙クレシア株式会社

寝具類でも、色は売りにつながるポイントの一つです。素材の質や季節による温度などと合わせて、総合的に検討されています。
明るく、ややグレイッシュなトーンで、柔らかく包まれた時の心地よさを感じさせ、幸せな睡眠時間がおくれそうです。

東京西川Qualial QL6654シール織綿毛布 西川産業株式会社

2018年03月22日

Text by 日本カラーデザイン研究所