ビジネス編#01 コンセプトを伝える色が必ず見つかる東洋インキ色見本帳 COLOR FINDER

各分野の色彩データとマーケティング調査から構成されたCOLOR FINDER

日本で一番最初に企画制作された色見本帳

日本で最初のインキ色見本帳は、東洋インキが1908年に宣伝用として作りました。その後、技術の革新で様々な色を表現できるようになるにつれ、1964年にCOLOR FINDERとして、292色のセットで発表しました。ポスターで使いやすい色や企業のブランドカラーに対応しながら色数を増やし、手軽な色見本帳として使われてきました。1988年に一挙に1050色へ充実させ現在の色数となっています。

1980年代は、カラー印刷の技術も格段に進み、教科書などでも一部カラー印刷になるなどの動きが見られた時期で、色への関心が急激に高まった時期といえましょう。

インキ見本帳とはいえ、印刷の分野の人だけでなく、多くの分野のデザインや商品企画の担当者は、デザイン資料の一つとして活用していました。そこで、そのような現状に合わせて、多くの分野で使ってもらえるような色見本帳を目指したのがTOYO INK色見本帳 COLOR FINDERです。

様々な分野のプロフェッショナルの声を反映したCOLOR FINDER

現在のCOLOR FINDERの制作にあたり、まず印刷物に用いられている色の整理を行いました。それまでの70年代~80年代前半はビジュアルコミュニケーション・ビジュアルマーチャンダイジングなどの考え方が導入され、多くの企業で取り組んだ課題でしたから、企業コーポレートカラーとして用いられている色などの視点も重要でした。

COLOR FINDER 1/2

そればかりでなく、日本市場で実際に使われているカラー分布データを行ないました。自動車、家電、オフィス、建築、住宅、インテリア、グラフィック、ファッション、化粧品、生活用品などの分野です。インキの範囲ではないのですが、色を扱う分野全般を視野に入れたのです。

次に、各分野で活躍しているデザイナー、プランナーなどに色見本帳の使い方、実際の色の決め方・作業手順のヒアリング調査など、どのような意識で使われているのか具体的に聞き取る作業を行なったのです。

この過程で明らかになったのは、各分野で高く評価されているデザイナーほど、色について具体的な手法を持ち、インキでも顔料の指定を行なっていたりすると言うように技術への知識も豊富であると言うことでした。また、日本古来の色や風土に根差す色などへの意識も非常に高く、日本出自のオリジナリティの重要性を示して下さったことです。

また、色見本帳に美しい色が揃っていて、それを何気なく見ているだけで多くのヒントを得られるものだと言うことも改めてわかってきました。

日本の感性に合わせ、繊細な色彩表現を可能に

例えば、色を見る時、「正確」な色を判断する場合には、何らかの基準の光源が必要になってくるので、国際照明委員会が規定した、タングステン電球に近いA光源、太陽直射光に近いB光源、昼光に近いC光源、さらに自然光に近い合成昼光D光源という「標準の光」を用います。基本となっているのはすべてのエネルギーを連続して持っている太陽の光とされており、測色用の機器などでは、それに近い波長をもっている標準光D65という光源が用いられていることが多いでしょう。また、光源について、太陽光にどれだけ近いかを「演色性Ra」と言う数値で評価しています。野菜など自然の色などは、演色性の高いランプを用いると生き生きとして熟したおいしさを感じさせてくれます。機器を使わず、目で見て測定する場合は、昼光の北窓が良いとされています。光の変化が少なく安定して見えるからです。陽の光を直接受けた場合、反射する光の量が多すぎて光るような状態になり、淡い色などは見えなくなってしまいます。外での色彩の調査をする場合には、晴天より薄曇りで周辺全体に光が柔らかく拡がっている状態のほうが色を見やすいのです。

COLOR FINDERは、これらの多くのデータやヒアリングの結果から、従来の印刷文化のみならず、日本の生活文化や伝統文化も取り入れる方向性が生み出されたのです。

例えば、代表的なものとして藍染の濃淡の色、食器の青花や呉須などの色がありますが、この色を微細に使いこなしているのは日本独特の感性です。これらの多くは「青紫」に分類されますが、欧米では、もう少し黄みに寄った「青」が一般的です。朱色やベンガラ色、柿色と言うような今でもよく使われるような色も欧米の色見本の中から探すのは困難です。

色は、各国の文化によって使われ方が異なっているわけです。

COLOR FINDERは日本で培われてきた色を中心として組み上げられた色見本帳です。

色を選択するための最適なツール

COLOR FINDER 1/2

4本セットですが、1~2番目は澄んだ「清色」中心の色グループです。明快な彩度の高い色と、淡く澄んだ調子の色で構成してあります。同じような性質を持った色で構成してあるため、この2本の中の色同士で組み合わせれば、すっきりしたカラーコーディネートができるようにもなっています。

COLOR FINDER 3

3番目は、印刷媒体ではやや異質な色の調子であるかもしれません。日本の濁色使いの妙味を意識した色構成です。日本は植物由来の天然染料を用いていて四季の変化で褪色しやすい気候風土もあり、灰みがかった色になじんできた文化を持っています。江戸時代に四十八茶百鼠という茶系のバリエーションや灰色がかった色をオシャレな色として愛でてきた歴史ももっており、微妙でさりげない色の違いなどを重んじてきた点は、世界でも少ない傾向です。

COLOR FINDER 4

4番目は、深みのある調子で、様々な国でも使われてきた伝統的なイメージの色をベースとしており、文字色やラインの色としてさりげなく使い分けることができるカラー構成としました。今でも万年筆のインキのカラーなどで用いられているような色です。

以上のように、COLOR FINDERは日本人の繊細で独特な色彩感覚を伝える事を考慮して作成されていますので、 コンセプトを伝える色を選択する際に、活用しやすい色見本帳になっています。

2014年10月01日

Text by 日本カラーデザイン研究所