応用編#01 ランプの色の使いこなし

光の色の見え方が、通りの表情を変える

この2枚は、同じ日に撮影した東京の街角の写真です。私鉄沿線のある駅で降りたら、まちの表情が何となく変わっていました。見回すと、街路灯が新しくなり、シンプルな棒状の形で白く青っぽい光が立ち並んでおり、淋しい雰囲気を感じました。右側はその隣駅でお祭りの準備が進んでおり提灯の温かい光の色が集中して、懐かしいようなホッとして温かい情緒感とちょっぴりワクワク感を味わいました。提灯の形が丸みを帯びていることも影響していたかもしれません。左側の写真でも、街路灯以外のお店の入口や窓には、黄色みを帯びた光が漏れていて、ちょっと入ってみたくなるような雰囲気を感じます。黄赤~黄みの光は温かい気持ちを思い起こさせてくれたりウキウキした気分を醸し出す効果が強いといえましょう。

駅のデッキの照明です。
バスのロータリーはありますが、7時過ぎくらいで人通りが少なくなってしまう地域ですので、温かい色みの選択もあったのではないかと思います。青い色は、都会的でシャープなイメージを持つ色です。おしゃれで洗練されていると歓迎される色です。しかしながら、自宅に帰る途中の地元の駅はホッとくつろげる色もいいのではないでしょうか。色彩を生活の場面場面でとりいれる際には、必ず、そのイメージ面、心理効果面を考えてみるといいでしょう。

インテリア分野の方であれば、よく知っている照明の色の捉え方があります。光の色と明るさの関係で、心理効果が異なるというクルーゾフ効果です。明るさが十分である場合には、青っぽい光は爽やかですっきりした印象になりますが暗い場合には寒々しく陰気な印象になってしまい、温かみのある光は、暗い場合に穏やかさが感じられますが、明るい場合には暑苦しく不快に感じるようになるということを示した図です。

コイズミ照明2014あかり専科

縦軸では、明るさのことを照度という単位で表し、数字が大きいほど明るい状態です。横軸は色みの違いですが、色温度と言う表し方で単位はケルビンで示されます。数字が大きいほど青みを帯びた色となっています。 帰宅する際には、落ち着いておだやかな色に包まれた駅に降り立ちたいものですし、温かい光が漏れているお店にはつい寄り道したくなるのではないでしょうか。ランプの色は商店街やお店の賑わいに一役買っています。

近年、照明の光源のLEDランプへの変更が急速に進み、ランプの価格も下がってきており、一般にもLED照明が広まるにつれ、調光、調光という言葉も浸透してきたと思われます。その様な動きのなか、光の色が仕事や睡眠に影響を与えるという研究を良く見かけるようになってきています。人には体内時計が備わっていて、地球の自転に合わせほぼ一日の周期でリズムを刻み、昼間活動し、夜間は眠るというリズムをつくるのですが、そのリズムを作り出すのに太陽光の色温度が関係しているということから、仕事には昼間の光、寝る際には夕焼けのような色から夕暮れのような色に接していると睡眠しやすくなるとしています。そのため寝室などは、眠る前には暖色系のオレンジなどのランプの色を用いると効果的と推奨しています。

ところが現実に生活を見直してみると、テレビをはじめ、PCやスマートフォンのモニターなどに接する時間が以前より長くなった人ばかりだろうと思います。以前取材に伺った睡眠研究に携わる大学教授の一人は、そんな生活行動の変化の為、画面の青い光が寝付きにくくさせ、睡眠不足傾向からストレス症状を持つ人が多くなるのではないかと懸念していました。太陽光による生活のリズムとは真反対の光と接していることになるわけですから、当然でしょう。自分の生活スタイルを把握し、住まいの照明などを改めて見直し、青い光成分の量などに配慮し、より電球色に近いものを選択するなど、色みの違いも生活の質を考慮して活用していくといいではないでしょうか。

見え方の違いの活用としては、着こなしの色のコーディネートを考える際に、行く場所に合わせて、照明を変化させるという提案もされています。ビジネスシーンのファッションには色温度5000k(ケルビン)のすっきりした照明が相応しいでしょうし。食事に出かける際には、2700kなどゆったりした雰囲気のレストランの照明に合わせて考えていくのもいいでしょう。色の見え方はずいぶん違うものです。最近のファッショントレンドのカーキ色は光の色の影響が極端にわかりやすい色で、5000kの光の中では緑がかってオリーブ色に見えてしまうくらいですから、気を配りたいところです。(色の表示はイメージです。)

コイズミ照明2014あかり専科

住宅インテリアでも、まちの明かりでも、色については気を留めていなかったり、何気なく習慣で選んでいたりするかもしれません。しかしながらLEDと言う新しい技術が取り入れられ、その光の色がお客様の足を止めるのに役立ったり、生活スタイルや生活の質にまで影響を及ぼすこともあるのですから、再度見直す時期といえましょう。刺身など食べ物の色がおいしく見えるということを評価基準にして、光の色を選ぶ人なども確実に増えてきているようです。これからさらにランプの色も使いやすいように研究され、身近な製品が多くなっていくと思われますので楽しみです。

2015年11月30日

Text by 日本カラーデザイン研究所