ビジネス編#05 インテリアと色 その2

インテリアと色1では、インテリア空間の中でよく使われている慣用色に注目し、中でも出現頻度の高いインテリア基本色7色をご紹介しました。具体的には白、アイボリー、ベージュ、ライトブラウン、ダークブラウン、グレー、黒という平凡な色ですが、この平凡な色を見分け使い分けることこそが、インテリア空間での色の使いこなしにつながっていきます。1回目は白の違いをテーマとしましたが、今回はインテリア空間のテイストを決めるといってよい、フローリングのカラーにスポットを当ててみたいと思います。

フローリングカラーの範囲

インテリア空間でカラーコーディネートを考える場合、最も重視しなければならないのは、フローリングの木目色です。ファッションでいえばスーツに当たり、壁紙はワイシャツ、ソファや小物はネクタイと考えていただくと分かりやすいと思います。インテリアでは、フローリングの色が他の内装材の色を決め、最終的に家具や小物の色を決めるのです。
では、具体的にNCDが調査をした過去10年間のマンションと住宅展示場のモデルルームで出現したフローリングカラーを見ていきましょう。

図1 フローリングの出現範囲(2004-2014年住宅展示場+マンションモデルルーム出現色)
図1 フローリングの出現範囲(2004-2014年住宅展示場+マンションモデルルーム出現色)

色相はR、YR、Y(赤、黄赤、黄)の狭い範囲に集中し、赤い木目ほど暗い色、黄色い木目ほど明るい色として出現します。最近はYR系に9割以上が集中する傾向が見られます。
一方、トーンを見ると、白に近いあかるいトーンから、こげ茶に近いくらいトーンまで、明るさのバリエーションがあります。 現在最もオーソドックスな色相7.5YRのトーン図に木目の色を当てはめてみると、明るい木目はLトーンとLgrトーンに、中明度の木目はDlトーンとGrトーンに、暗い木目はDkトーンとDgrトーンに、派手な木目はDpトーンとSトーンにおよそ位置します。中でも、明度4~7、彩度4~6のLトーンとDlトーンが、最もオーソドックスな木目色の範囲となります。(図2参照)

図2 木目の明るさと出現トーン
図2 木目の明るさと出現トーン

木目の嗜好調査をすると、様々な木目色の好みが見られますが、「エコを感じる木目は?」と聞くと明るい木目が、「高級感のある木目は?」と聞くと木目らしさを残した暗い木目が選ばれるというように、どんな色の木目を選ぶかで、表現できる空間イメージがほぼ決まりますから、インテリアのコンセプトに合わせて木目色を慎重に選ぶ必要があります。

フローリングのトレンドとアクセントカラーはリンクする

トレンドに無縁なようで実はトレンド性が最もわかりやすく出るのもフローリングの木目色です。2000年代前半から中盤のシンプルモダンな時代には、黒い木目と白い壁のコントラストでモダンさを表現する空間が主流でしたが、2000年代中盤以降、インテリアがナチュラル化すると、オーソドックスな明るい木目のボリュームがアップし、エコや環境共生を謳う空間が主流となりました。樹種でいえば、オークやメイプルなどの明るい木目です。一方、ウォールナットのような暗い木目を使ったオーセンティックな空間も二世帯住宅の親世帯や、マンションの高級感訴求のために多く提案され、震災前までは明るい木目のナチュラルな空間と暗い木目のオーセンティックな空間がトレンドの二大潮流でした。

しかし最近は本物の木をスライスした突板ではなく、高性能な印刷によるフローリングが主流となっているため、本物の木目では表現できなかった低彩度色がトレンドカラーとなっています。これは、特にマンションで顕著な傾向です。ただし、同じ明度の色を組み合わせると空間全体が地味でメリハリのない印象になるので、建具や家具などのトーンを変化させ、明暗の効果を出す必要があります。

下記の2点の写真は、いずれもファミリーマンションのインテリアです。木目色とアクセントカラーの変化をよく見てください。

写真1 明るい木目にグリーンやブルーを使ったナチュラルな空間 東京建物株式会社『ブリリア多摩ニュータウン』
写真1 明るい木目にグリーンやブルーを使ったナチュラルな空間 東京建物株式会社『ブリリア多摩ニュータウン』
写真2 グレー系フローリングを使ったシックさのある空間  株式会社コスモスイニシア『イニシア調布国領』
写真2 グレー系フローリングを使ったシックさのある空間  株式会社コスモスイニシア『イニシア調布国領』
図3 ナチュラルな木目には清色が似合う。シックな木目には濁色が似合う。
図3 ナチュラルな木目には清色が似合う。シックな木目には濁色が似合う。

空間のアクセントカラーも木目色のトレンドと呼応するように変化していきます。例えば、2000年代中盤に多かった明るい木目色を使ったエコでヘルシーな空間には、植物の緑やそれをイメージさせる清色のグリーン系が提案されました。現在は、グレーやグレイッシュカラーの木目色に合わせて、ブルーグレーやグレイッシュパステルなどの濁色が多く使われています。このように、フローリングの木目色と配色して美しく見える色が使われるため、家具やファブリックスのトレンドカラーを見極めるには、木目色の変化を常に意識することが、今後の方向性を探る上でのヒントとなります。

2015年10月20日

Text by 日本カラーデザイン研究所