中期経営計画artience2027|統合レポート2025 財務戦略:資本効率向上を軸に財務改革を推進する

2025年6月27日 公開

本ページはAIを用いて翻訳しています。

執行役員 グループ財務部長 有村 健志
執行役員 グループ財務部長
有村 健志

資本効率の向上はartienceグループにとって喫緊の課題です。自社株買いや保有株式縮減、株主還元水準向上などの資本政策および資本効率管理指標の全社導入を通じて財務改革を推進し、中長期的な企業価値向上を目指します。

中期経営計画初年度での進捗

2024年は変革の年。資本効率向上の意識が高まった

2024年度は、当社にとって大きな変革の年となりました。100年以上続いてきた会社名を変更し、また経営理念を刷新したことは、社内意識に大きなインパクトを与えました。看板を掛け替えただけじゃない、あらゆる事業活動、企業活動を強力に変革していこうというマインドが社員の間に広がり、我々の資本効率向上の施策を推進するうえで大きな後押しとなりました。財務部門としても、自社株買いなどの資本政策を企画・実行し、キャッシュフローや効率性指標を導入するなど、全社の資本効率を高める施策を実行しました。会社全体として、資本効率向上への意識が確実に高まった年だったと思います。

2024年度は、社内管理指標としてROICやCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などを導入しました。また、2025年2月、中期経営計画artience2027の初年度を終えたタイミングで、自社株買いや保有株式の縮減方針など、中計スタート時に示していた計画を見直し、公表しました。中計で掲げた「3年間でROE7.0%以上」という目標は2024年度で達成できましたが、株式の売却益など特殊要因による加算もあったため、満足のいく水準ではないと思っています。今後、特殊要因がない実力値として8.0%以上を修正目標に掲げて取り組んでいきます。

財務改革の諸施策(2024年度の進捗)

事業ポートフォリオ変革

  • 低収益事業の構造改革含む既存事業の収益力改善
  • 戦略的重点事業群の拡大を着実に進め、成長ストーリーを明確化

資本効率の向上

  • ROIC指標の全社導入による効率性の向上
  • CCC改善による運転資金の縮減(2024年度実績111日⇒2025年度目標108日)

資本政策

  • 総還元性向に基づく株主還元の充実(2024年度実績:前期比10円増配、自己株式取得※)
  • 保有株式の縮減(2024年度95億円売却)

資本コスト低減の取り組み

  • 適時適切な情報開示、積極的な情報発信などIR活動の強化、ステークホルダーとの対話強化

※ 450万株もしくは100億円上限(取得期間2024年8月13日~2025年8月12日)

PBR1倍の達成に向けた課題と成長戦略

財務部門として大きな課題の一つであるPBR1倍を達成するうえで、二つの重要なポイントがあります。

一つは、一時的な特殊要因に頼らず、実力値でROE7.0%以上、さらに8.0%以上を達成することです。そのため、経営方針で「高収益既存事業群への変革」を掲げ、既存事業の収益力改善に取り組んでいます。ここ数年赤字だった国内の印刷・情報関連事業が、2024年は大きく利益を出しました。国内オフセットインキ事業は構造改革や価格改定の推進により赤字が縮小し、その他事業も高付加価値品への転換や価格改定、効率化で稼ぐ力が向上したと分析しています。これら高収益既存事業群での2026年の営業利益目標を、当初の140億円から190億円に上方修正しています。

もう一つのポイントは、戦略的重点事業群における新たな成長分野の確立です。EV向けリチウムイオン電池材料は一時期の想定に反して、最近はEV市場が低迷していることにより、当初の計画より遅れが生じています。ただし、EV市場が回復したときに多様な要望に応えられる準備を進めています。今後の成長事業として、ディスプレイや半導体、先端エレクトロニクス事業には躍進の兆しもあり、成長分野と位置付けて積極的に投資を行っていきます。

PBR推移/当期純利益・ROE推移
PBR推移/当期純利益・ROE推移
CCCの改善に現場の積極的な動き

2024年度、CCCを114日から111日に、3日改善しました。在庫や売掛金の回収までの日数短縮に現場の社員が熱意をもって取り組んでくれました。経営方針である資本効率の向上を実現するための意識が浸透してきた結果だと思います。

ROICの浸透については、まだ道半ばと感じています。これまでは四半期ペースで配信していた実績を毎月出すなど、社員の目に触れる機会を増やし、意識を高められる取り組みを行っています。

保有株式を縮減し、資本効率を最大化

保有株式については、従来、経済合理性を検証して、資本コストと比較した保有に伴う便益や取引状況を検証した上で縮減を進めてきましたが、2024年度は一歩踏み込んで縮減方針を公表しました。より積極的な方針を打ち出し、資本効率を最大限に高めることを目指しています。保有株式の縮減は取引先との信頼関係を失わないよう、丁寧に進めながら、成長投資や株主還元につなげ、企業価値を高めていきたいと考えています。

株主還元水準の向上を目指す

先端エレクトロニクス分野や海外の成長地域などへの成長投資を優先しつつ、積極的に株主還元をする資本政策に変わりはありません。2024年度は利益が計画を超過したことで、中計3年間での営業キャッシュフロー計画を、400億円から480億円へ増額しました。この一部を株主にも還元することとしました。 保有株式縮減も当初の計画よりも成果を出せる見込みとなったため、そこで得られる利益も、成長投資とともに株主還元にあて、企業価値を高めていく方針です。今後も、利益成長に合わせて株主還元水準の向上を目指します。

株主還元

株主還元
株主還元

キャッシュアロケーション

キャッシュアロケーション
キャッシュアロケーション

企業価値向上に向けて

経営意思決定における社外取締役の役割を重視

ガバナンス強化のグループ方針に基づいて、社外取締役を増員し、現在、取締役の過半数が社外取締役となっています。社外取締役はある意味、株主や外部のステークホルダー代表という役割も持っていますので、社外取締役に対する議案の説明は時間をかけて丁寧に行うなど、コミュニケーションの充実を図っています。2024年度の自社株買いや保有株式の縮減方針見直しなども、取締役会での議論を踏まえて実施に至りました。外部からの要請なども意識した判断がなされていると思います。

財務格付け「A格」を維持しながら資本効率を向上

最適資本構成の前提になるのは、財務格付けで「A格」を維持することです。A格を取れるほどの強固な財務基盤を持っていなければ、余力を持って投資を行うことができません。金利が上昇していく局面で、格付けが下がると資金調達コストも上がってしまいます。

資本効率の向上は喫緊の課題です。A格を維持しながら資本効率の向上を両輪として、中長期的な企業価値向上のため、成長の進捗に見合った適正なバランスシートを目指していきます。

統合レポート

経営計画artience2027/2030“GROWTH”