中期経営計画artience2027|統合レポート2025 人的資本戦略:「人間尊重の経営」のもと、個の力を最大化する

2025年6月27日 公開

本ページはAIを用いて翻訳しています。

artienceグループのすべての企業活動の中心は「人」です。社員が自身の力を最大限発揮することで、グループ全体の企業価値を最大化できます。グローバルに広がる全社員の力を引き出し、活かしきる。これが私たちの挑戦です。

執行役員 グループ人事部長 関野 純二
執行役員 グループ人事部長
関野 純二

経営計画と人的資本は切り離せない

中期経営計画artience2027における人的資本戦略の3つの重点取り組み

artienceでは「人」をすべての企業活動の中核に据え、事業成長の原動力としています。社員一人ひとりの力を引き出し活かすことで、グループの企業価値を高めていく。これはまさに「人間尊重の経営」という私たちのCorporate Philosophy(経営哲学)を反映したものです。

当社グループの中期経営計画artience2027は「高収益既存事業群への変革」「戦略的重点事業群の創出」「経営基盤の変革」を基本方針としています。“GROWTH”を掲げ大きな変革を目指していく今、それを支えるのはやはり「人」です。経営計画と人的資本は決して切り離せないという考えのもと、artience2027の人的資本戦略では次の3つに重点的に取り組みます。

1つ目は「事業の成長を創出する人材の確保」です。事業目標を達成するため、新たな技術領域、例えばバッテリーや半導体分野などの戦略的重点事業群の領域では、社内公募やキャリアチャレンジ制度の活用によるグループ内の人材シフトを進めるとともに、これまで社内にない知見を持つ人材をグループ外から得ていくことは不可欠です。また、速く激しい環境変化に対応していくため、法務・財務・広報といった管理部門の専門人材や、製造業を第一線で支える生産現場スタッフの確保も課題と認識しています。

2つ目の「社員の挑戦と成長の促進、挑戦する風土の醸成」では、新規事業を探索するインキュベーションセンターとの連携により、人材育成や風土改革を加速させます。2024年度には新人事制度をスタートし、個々の能力や成果、挑戦する姿勢をより重視した評価体制へと移行しました。

3つ目が「多様な個の力を活かす環境づくり」です。さまざまなバックグラウンドを持つ社員一人ひとりが活躍できる環境を整えていきます。社員の男女比の偏りは長年当社の課題でしたが、2025年の新卒採用では女性が41.2%となりました。一方、女性管理職比率は5.8%とまだまだ低い水準で、継続的な取り組みが求められます。また、海外売上高比率が5割を超えるなか、グローバル人材の活用も重要な鍵となっています。

理念浸透を図り、社員の成長を促進

「感性に響く価値を創りだし、心豊かな未来に挑む」。このBrand Promiseは、私たちが社会に対して掲げる約束であると同時に、すべての社員に期待する姿そのものです。言い換えれば、ここには「当社グループがどんな人材と未来を目指したいのか」というメッセージが込められています。

多様な社員がいるなかで、こうした理念を全員が等しく理解し、行動に移すのは容易ではありません。そのため当社では、社長自らが各地の拠点を訪ねて「座談会」というかたちで社員と直接対話を重ねており、2024年度には国内外14カ所で実施しました。また、部門長・部長クラスに対しては、理念を部門方針へと落とし込むためのワークショップを開催しています。参加者からは「上位方針を自部門でどう具体化するか、改めて考え直す良い機会となった」という声が多く寄せられ、一定の手応えを感じています。2025年度には、この取り組みを海外拠点にも展開する予定です。

人事制度改定の背景には、理念や経営計画との結びつきを深めるねらいもあります。これまでの制度では、社員が日々の仕事の枠を超えたチャレンジを行っても、それを正当に評価する仕組みが不十分でした。新制度では「挑戦する姿勢」と「成果」に応じて、よりメリハリのある処遇を実現できるよう設計しています。

特に、画一的になりがちだった「目標設定」の質を高めるべく、2025年の1、2月には課長クラス217名を対象に「目標設定力向上ワークショップ」を開催しました。評価の起点となる目標次第で、業務への向き合い方は変わります。現場に近い課長たちが、部下の効果的な目標設定をサポートできる体制を整えていきます。

スペシャリスト人材を幹部に登用する仕組みの導入も、大きな一歩となりました。すべての社員がマネジメント/ゼネラリストの道を目指す必要はなく、専門性を軸にキャリアを築ける道筋を示しました。若手社員にも「会社は自分の専門性を認め、活かしてくれる」という実感を持ってもらいたいと考えています。

人的資本戦略の全体像

artienceグループは「人」をすべての企業活動の中核に据えて起点とし、事業を成長させていきます。社員一人ひとりが最大限に力を発揮することで、グループ全体の企業価値を最大化させます。

人的資本戦略の全体像
人的資本戦略の全体像

artience2027人的資本戦略 取り組みごとの定量把握方法

artience2027人的資本戦略 マテリアリティテーマ 具体的な取り組み 定量把握方法
事業の成長を創出する人材の確保 人的資本
DE&I
  • 経験者・専門人材の積極的採用
  • 新教育体系「artience growth field」
  • 社内公募、キャリアチャレンジ制度、海外ワークショップ
  • ナショナルスタッフ育成「Global Leadership Program」
  • 経験者・専門人材の採用比率
  • 1人あたり教育訓練費
  • 各キャリア・育成施策の実績
  • ナショナルスタッフ役員比率
社員の挑戦と成長の促進、挑戦する風土の醸成 人的資本
  • 新人事制度「HR canvas」
  • イノベーション創出促進「Incubation CANVAS TOKYO」
  • ビジネスアイディアコンテスト「IPPO」、改善提案表彰
  • Plus Try制度実績、エンゲージメントスコア
  • コラボイベント開催回数、事業化実績
  • コンテスト応募数、実績化数、改善提案回数
多様な個の力を活かす環境づくり 人権尊重
DE&I
健康経営
  • DE&I推進
  • 特例子会社「クローバー・ビズ(株)」運営
  • グローバルベースでの人材流動性促進施策
  • 社員エンゲージメント向上諸施策
  • 健康経営の推進
  • 両立支援関連の認定継続・認定範囲拡大
  • 障がい者雇用率、クローバー・ビズ事業の拡大
  • ナショナルスタッフの国際間異動実績
  • エンゲージメントスコア
  • 社員定期健診数値の実績など

エンゲージメント向上に向けて

2024年度には、国内外合わせて約3,600名を対象にエンゲージメントサーベイを実施し、83%から回答を得ました。全体的には、グローバル製造業基準値と同等程度のカテゴリーも複数存在し、日本製造業の平均と比べるとこれを上回る結果となり、調査を委託した外部機関からも、初年度としては健康的な結果との評価を受けています。特に高評価だったのは、「ワーク・ライフ・バランス」「心理的安全性」「直属上司との良好な関係性」「会社の安全への対応の信頼感」「社外への誠実な対応」の5つでした。一方で、「会社や事業に関する情報共有」「業務効率悪化要因の排除」などで課題が浮き彫りになり、今後の改善項目と認識しています。

エンゲージメント向上に向けて、2025年度は大きく二つの軸で取り組んでいます。一つは個別の部門ごとの改善活動です。調査結果では部門や職種によって異なる傾向が見られ、一律でのアプローチが馴染まない課題もあります。エンゲージメントサーベイの実施後、すぐに具体的な改善施策に取り組んできた現場もあり、2025年度はそうした事例を全社に広め、さらに進化させていきます。

もう一つは、グループ全体を横断した取り組みです。まずは、調査結果から明らかになった「会社や事業の方針についての情報共有が不十分」という課題に対し、部門長が直接語るインタラクティブな方針説明会を開催します。当社グループの具体的な方針と施策を示し、事業や組織の競争力に自信を持てること、また対話を重ね社員一人ひとりが自らの業務と当社グループの目指す方向性を結びつけ、日々の業務がグループ全体の発展に貢献している実感が持てることを目指します。

「業務でのムダ」の見直しも重視する点です。現場をよく知る課長やグループリーダーが中心となり、社員が日々の業務で感じている課題を吸い上げ、業務効率化を図っていきます。

さらに、エンゲージメントの向上には挑戦意欲を大切にする仕組みを定着させていくことも欠かせません。2024年度から導入した新人事制度を効果的に運用し、社員の新たな取り組みやチャレンジを評価します。新設した定着委員会のもと、人事部が中心となり評価・処遇を改善していきます。

エンゲージメントサーベイは社員の気持ちに関わるものであり、その結果を数値化してKPIとして扱うことには難しさもあります。それでも、社員の声に耳を傾け、現状を把握するための重要なツールであることに変わりありません。定性的な側面を理解しつつ、結果を真摯に受け止め、具体的な施策につなげていきたいと思います。

グローバル人材の活躍推進に注力

グローバルでの人材・組織の活性化は、現在のartienceにとって極めて重要なテーマです。2024年度には国内社員が3,000人を下回り、海外社員は初めて5,000人を超えました。この傾向は今後も続くとみられます。今や当社のビジネスの主戦場は明らかに海外となっていますが、人事面でも日本中心の発想が根強く残っていることは課題です。事業展開している各国でも、当社グループの現地法人はいまだに「日系外資の中小企業」として見られがちで、そこで働く社員にも「グローバル企業であるartienceグループで働いている」という意識が希薄なことが少なくありません。

ただ、そうしたなかでも、トルコ、アメリカ、中国、シンガポールなどでは現地出身者がトップを務め、好業績を収める事例が増えてきています。メキシコでのCEO経験者が現在アメリカ拠点を率いるなど、グループ内での国をまたぐ人材循環も始まっています。

artienceは日本発の企業であっても、もはや日本人だけの組織ではありません。民族や国籍にとらわれず、理念と方針を共有できる人材に、現地の経営を託していくべきです。グローバルに活躍できる人材づくりに向けて、2025年度には海外の経営幹部候補を対象とした育成プログラムや、現職の役員クラスを日本に招いた研修を実施していきます。

また2024年度、海外子会社への人材サポートを強化するため、グローバルサポートユニット(GSU)を立ち上げました。人事を中心に、法務、総務などの管理的な側面から海外拠点を支援しており、特に今後はグローバル人材の育成や国際間異動といったミッションを担っていく予定です。

国内外のすべての社員を活かしきる

今後も人事としての使命は、「人間尊重の経営」を体現していくことに尽きると思っています。「人間尊重」とはさまざまな解釈ができる言葉ですが、私はこれを「社員一人ひとりが、自分の力を最大限に発揮できる環境をつくること」だと捉えています。その実現に向けて、人材の把握、配置、育成、評価、処遇といったあらゆる領域に取り組み、それぞれを有機的に連動させていきます。

国内においては、一定の基盤づくりが進んできました。これからの最重要テーマは、5,000人を超えてなお増え続ける海外社員に「artienceグループの一員だ」という意識をいかに持ってもらい、活躍の場を拡げていくかです。国境を越えて理念を共有し、ともに成長を目指せる人材づくりに向けて、道筋を明確にしていくことが求められています。

グローバルに広がる全社員の力を引き出し、活かしきる。その挑戦を、人事として続けていきます。

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