統合レポート2026 artienceの強み:独自のコア技術によるビジネス展開
2026年6月30日 公開
本ページはAIを用いて翻訳しています。
東洋インキ株式会社 サスティナブルパッケージング部

宮川 匠
市場環境
近年、プラスチックごみが引き起こすさまざまな問題に対し、地球規模で危機感が高まっています。世界全体で年間4~5億トン生産されるプラスチックのうち、1,100万トンが海洋に流出しているといわれています。
サーキュラーエコノミーで先行する欧州では、全包装のリサイクル可能化やプラスチック包装の削減などを定めた「包装および包装廃棄物規則」(PPWR)が2026年8月に運用開始。日本でも製品の設計・製造・リサイクルまでを一貫強化する「改正資源有効利用促進法」が2026年4月に施行され、プラスチックリサイクルの世界市場が今後さらに拡大していくことは間違いありません。だからこそ、世界が必要とするリサイクル技術の開発を先行して進めていくことは、中長期的な企業価値の向上に資すると考えます。
競争優位性
私たちartienceグループでは、2019年頃からグループ会社の垣根を越えた全社プロジェクトとして使用済みプラスチック包装から再生プラスチックを回収するための剥離・脱墨リサイクル技術の開発に取り組んできました。
食品や医薬品などに用いられる「軟包装」と呼ばれるプラスチック製のフィルムパッケージは、長年の研究開発の積み重ねによって徐々に高機能化が進んできました。異素材のフィルムやアルミを積み重ねることで、鮮度の維持や長期保存など用途ごとに異なる性能が実現されてきたのです。
一方、こうした積層構成のパッケージは、層を貼り合わせる接着剤やパッケージ印刷に用いるインキをプラスチックから除去するのが難しく、リサイクルしづらいという課題があります。また、せっかくプラスチックを回収・再生しても、残留インキによる着色など品質に課題が残るため用途が限られ、再生プラスチックを同じ種類のパッケージの原材料として使用する「水平リサイクル」は難しいと考えられてきたのです。
そのようななか、当社グループでは樹脂合成や色材合成など、グループ会社が持つ多様な分野の先端技術を組み合わせ、使用済みパッケージから接着剤やインキを除去することで純度の高いプラスチックを回収できる高度な剥離・脱墨技術を独自に開発しました。これによりフィルムパッケージの「高機能性」と「リサイクルのしやすさ」の両立が可能になったのです。
社会実装に向けては、長年の包装材料ビジネスで培ってきた社外との関係性に加え、実証実験ができる大型のラボプラントを自社で保有していることがartienceの強みの一つですが、こうしたサーキュラーエコノミーの構築は個社では成し遂げられず、動静脈産業を跨ぐスキームが必要です。そのなかで、どうしたらartienceの存在感を高められるかも意識しつつ、協創拡大に取り組んできました。
この技術で再生されたプラスチックが品質・強度・コストなどあらゆる面で実用に足るものになるよう、複数のブランドオーナーや包材メーカーの方々にご協力いただき、検証と改良を重ねてきました。また、高い生産性と効率のもとで運用できる生産設備についても、複数の機械メーカーと緊密に連携して共同開発を行いました。 こうした取り組みに積極的にご参画いただいているブランドオーナーの一つ、ライオン株式会社との共同開発がいち早く結実。当社技術によって高品質に再生されたプラスチックを用いた同社の洗剤つめかえパウチの製品化が決定しました。現在は本格的な事業化に向けての検証を進めています(2026年5月時点)。
フィルムパッケージにおける「水平リサイクル」が可能になったことは、プラスチックのリサイクルスキーム拡大に向けた大きな一歩です。今後、この剥離・脱墨技術をさらに多くのステークホルダーと連携しながら広く展開することで、この流れを後押ししていきたいと考えています。
剥離・脱墨技術が目指すプラスチック包装の資源循環

長期のありたい姿
最新技術の粋を集めたといわれるプラスチック包装ですが、一方で「ゴミのもと」という悪いイメージがつきまとっています。私自身、グラビアインキ営業の新人時代、お客様から『自分たちが作っているものはいずれゴミになる』と言われて衝撃を受けました。それでも私は、胸を張って仕事をしたい、パッケージ全体の未来を考えていきたいと思い「包装専士※」の資格を取得。資格者が集まる委員会などに参画して、10年後、20年後のパッケージのあるべき姿といった未来について皆で考えています。
改めてプラスチック産業に携わる企業人として、プラスチックリサイクルの質をもっと高めていきたい、『使用済みプラスチック包装はゴミではなく、サーキュラーエコノミーを支える中核的な資源だ』という新たな価値を創出し、社会全体のパラダイムシフトを促したいと思っています。そのためには、このスキームに関わる幅広い業界の垣根を越え、ときには競合とも力を合わせることで「協創の輪」を拡げていくつもりです。それに並行して、今回構築したスキームや考え方をartienceグループ全体の技術開発・事業開発のコンセプトとして浸透させていきたい。サーキュラーエコノミーは今後の「ものづくり」を大きく変革するテーマであり、私たちartienceグループが今後提供すべき「価値」であると確信しています。
- 包装専士:公益社団法人日本包装技術協会が定める民間資格で、日本最高レベルの包装技術のエキスパートを認定しています。

ライオンは、環境対応の一環として、洗剤・柔軟剤などの容器包装をボトルからつめかえパウチへ転換することで、プラスチック使用量を大幅に削減してきました。しかし、つめかえパウチは、容器としての性能を担保するためにさまざまな素材のプラスチックフィルムが強固に貼り合わされており、リサイクルは容易ではありませんでした。
転機となったのが、東洋インキ様の剥離・脱墨技術との出会いです。この技術を活用させていただき、当社は住居用洗剤「ルックプラス バスタブクレンジング」でリサイクル可能なパウチを2024年に上市しました。本製品は環境貢献への期待度が評価され、国内外でさまざまな賞を受賞しています。さらに2026年、同製品の生産端材を剥離して、ポリエチレンを選択的に再生することで、おしゃれ着用洗剤「アクロン」のつめかえパウチに活用するという循環型スキームを実現しました。
当社は引き続き、本技術を活用したプラスチックリサイクルの拡大に向け、東洋インキ様をはじめとするさまざまなステークホルダー様との連携を加速してまいります。
